たった1ヶ月の恋
大好物はリンゴ
「海、今日遊びに行かない?」
「あー、ごめん美弥、今日は用事あるからパス!」
放課後、いつもはオッケーしちゃう美弥からの誘いを断った。
教科書の入ってないカバンを背負い、少し急ぎ足で教室を出る。
うわ、歩いて帰るの面倒だな…
「じゃあ俺が…」
「え、何でいんの?」
朝同様、真っ黒なローブに身を包んだ死神が、壁から上半身を出していた。
何で死神がここにいるの? その前に、この死神はあたしの心が読めるんじゃないの?
「海なかなか帰って来ねーから。俺迎えに来ちゃったっ!」
「気持ち悪い…」
おっと、周りに死神は見えないから、あたし1人で喋ってるみたいになるんだった…
ここでは話せないや。もっと離れて、人がいないところまで行かなくちゃ。
「気持ち悪いって、ひどいな…」
こいつ、ほんとに死神なの?
見た目だって、ローブと鎌がなければ………あ、あとたまに出てくる真っ黒な翼がなければ、ただの人間。
とてもじゃないけど、死神の容姿ではない気がする…