たった1ヶ月の恋
「ねぇNo.5、イブって呼んでもいい?ファイブのイブをとって。」
あたしがそう言うと、イブは無言であたしを睨んでくる。オーラが怖い。何言ってんだお前、みたいな。
「No.5、いいじゃんイブ! No.5って呼びづらいし、俺気に入った!」
マグカップを直していたであろう、ハチが奥から出てきた。ニコニコ笑顔で。
「なめてんのかよ、誰がイブだ。窓直したから俺は帰るぞ。」
ハチを睨みつけながら言ったみたいだけど、ハチには全く効いてない。むしろ、さらに楽しそうな笑顔になった。
「照れんなってー」
「照れてねぇよ」
素早くそう言って、あたしたちから離れていく。どうやら帰るみたいだ。
「イブっ」
早速、ハチはイブと呼んでいる。ハチの方は気に入ってくれてるみたい。良かった。
「今日はありがとなっ、また何かあったらよろしく! 俺お前のことは信じてるから」
ハチがそう言ったとき、イブの手がかすかにギュッと握られるのが見えた。
そのまま何も言わずに、スッと消えていってしまった。
「何だあいつ、帰っちゃったな」
鈍感な死神だ。