たった1ヶ月の恋
新学期スタート
――――――――
―――――――――…
「はぁ…」
―キーンコーンカーンコーン…
久しぶりに聞くチャイムの音。予鈴だ。間に合うかな、あと5分しかないけど。
今日から新学期が始まる。あと6日もたてば、ハチが来てちょうど1ヶ月になる。
早いもんだ。
クリスマスも、お正月も、何事もなかったかのように過ごしてしまった。
「海ー、学校間に合う?」
あたしの歩く後ろを、フワフワ浮きながらついて来る2人…………、いや、訂正。ついて来る2匹だ。
「多分間に合わない。」
間に合わないのは、決してあたしが寝坊した、とか、そんな理由じゃない。まぁ、そっちの方が楽だけど。
きっとハチとイブがいなければ、あたしは今生きていないだろう。
「ねぇ、悪霊多くない? あたしたちが家出たの1時間前だよっ、普通だったらとっくに学校着いてるって」
あたしが歩く先々に、霊、霊、霊。
全く前に進めなかった。冬休み、家から出なくてよかったなー…
「だから言っただろ、お前狙われてんだって。自覚持てよバーカ。」
イブが鎌を振り下ろしながら不機嫌そうに言った。鎌の先には霊が一体。それを思いっきり切ってるイブ。
怖いな。
「海、間に合わないんなら飛ぼうぜ。あんなの一体一体殺してたらキリがねぇ。」
あんなの、っていうのは、きっとあたしの目の前にいるウヨウヨした物体のことだろう。
「うん、そうだね」