たった1ヶ月の恋

「どったの海ー?」

"どったの"って。

思わずまた笑いそうになったけど、平常心を保ってなんとかこらえた。


「バカ、こいつここでは俺たちと話出来ねぇって言っただろ。話しかけても無駄。」

そうそう、学校では話しかけられても返事できないから、出来れば心を読んでほしい。


「あぁ、そうだった。」

ハチとイブの会話を聞きながら歩いているうちに、教室についた。案の定、担任は来ていない。


「あ、おはよー海」

パタパタとペンギンみたいな走り方で近づいてくる美弥。久しぶりに見た。


「おはよ、美弥。久しぶり、二学期が終わって以来だよね。」

「そだねー」なんて言いながらニコニコしている美弥の顔を、ハチとイブが前から凝視。


「あ、はは…」

思わず苦笑い。

美弥からは見えてないにせよ、真っ正面から覗き込みすぎだから。


「海、こいつなんて名前?」

美弥だよ。椎名美弥。

あたしの親友。


病院が苦手だと言ったハチは、どうやら学校は大丈夫みたいだ。まぁ、死期が近いのなんてあたしぐらいだよね。


「あ、海ー、駅前に新しいケーキ屋さん出来たらしいんだよね。今度一緒に行かない?」

「いいよ、行こう」
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