たった1ヶ月の恋
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ガヤガヤと賑やかな体育館につくと、ハチはキョロキョロとし始めた。
人間が珍しいなんてことはないと思うんだけど。何か探してるのかな?
「いた。海、あの前髪あげてる女の子には近寄らないで。あの子霊感ある。」
そんなことまで分かっちゃうんだ。でも、ハチは幽霊じゃなくて死神なんだから、見えないんじゃないの?
「霊は見えるみたいだけど、俺らは見えてないよ。見えなくても感じ取る力は持ってるからね。怖がられても困るし。」
なるほど。ハチやイブの姿は見えないけど、何かいるというのは分かるというわけだ。
先輩っぽいから、関わりはないだろう。話しかけることも、話しかけられることも、ないはず。
「海ー、こっち」
少し前の方で美弥が手招きしていた。クラスの列に並ばなければならないみたいだ。
だんだんと人が増えていく体育館の中を、フワフワと浮くハチとイブ。
ハチはずっとあたしのそばにいるけど、イブは少し離れた位置にいる。常に不機嫌顔だけど。
「寒いねー、早く帰りたい」