たった1ヶ月の恋
グチグチと言っている美弥。いつのまにか始業式は始まっていた。
「おはようございます、今日から新学期が始まりましたが…―――――」
相変わらず、校長の話は長いようだ。初めから聞こうとも思っていなかったが、寒いから早めに終わらせてほしい。
ふと横を見てみると、そこにはハチの姿が。あたしの隣に座っていた。当たり前のように。
「話なげぇなー、あのおっさん。」
ゴロンと横になって、欠伸をしている。ここ、体育館だから汚いのにな。
見えているのはきっとあたしだけだから、全然いいんだけど。
万が一、もしも命日が近い人がいたらどうするんだろう?
ハチのことは当たり前のように見えるし、今飛んでるイブの姿もバッチリ見えるだろう。
危機感ないなぁ…
そんなことを思っているうちに、隣からは寝息が聞こえてきた。
寝ちゃってるし。
「休み明けのテストもありますが、勉強はしていますか?今日は…――――」
校長の話はまだ続いている。ハチにつられてあたしまで寝てしまいそうだ。
「長いね、話。」
ハチがいる方とは逆の方から声がした。美弥が欠伸をしながら言っていた。
「うん、長いね」
周りを見渡してみれば、ちらほら寝ている人がいた。まぁ、気持ちは分かるよ。
学校久しぶりだもんね。
「だれも校長の話なんか聞いてないっつーのー…」
ニコニコしながら美弥が言う。そんな笑顔で恐ろしいことを…