たった1ヶ月の恋

グチグチと言っている美弥。いつのまにか始業式は始まっていた。

「おはようございます、今日から新学期が始まりましたが…―――――」


相変わらず、校長の話は長いようだ。初めから聞こうとも思っていなかったが、寒いから早めに終わらせてほしい。

ふと横を見てみると、そこにはハチの姿が。あたしの隣に座っていた。当たり前のように。


「話なげぇなー、あのおっさん。」


ゴロンと横になって、欠伸をしている。ここ、体育館だから汚いのにな。

見えているのはきっとあたしだけだから、全然いいんだけど。


万が一、もしも命日が近い人がいたらどうするんだろう?

ハチのことは当たり前のように見えるし、今飛んでるイブの姿もバッチリ見えるだろう。


危機感ないなぁ…

そんなことを思っているうちに、隣からは寝息が聞こえてきた。

寝ちゃってるし。


「休み明けのテストもありますが、勉強はしていますか?今日は…――――」

校長の話はまだ続いている。ハチにつられてあたしまで寝てしまいそうだ。


「長いね、話。」

ハチがいる方とは逆の方から声がした。美弥が欠伸をしながら言っていた。


「うん、長いね」

周りを見渡してみれば、ちらほら寝ている人がいた。まぁ、気持ちは分かるよ。

学校久しぶりだもんね。

「だれも校長の話なんか聞いてないっつーのー…」

ニコニコしながら美弥が言う。そんな笑顔で恐ろしいことを…
< 94 / 202 >

この作品をシェア

pagetop