たった1ヶ月の恋
少し歩いていくと、周りにいた人たちは、いつの間にかいなくなっていた。
「飛ぶよ」
「へ?………うわぁっ」
急に抱き抱えられて、思わず変な声がでる。凄い勢いで宙に舞ったかと思えば、いつも同様、数秒後には家に着いていた。
「早く入れ」
ハチに地面に降ろされた途端に、イブが背中を押して早く家に入るように急かす。
何だかよく分からないけれど、急かされたから焦って家に入る。
ヤバいのかな…
手にジワリと汗が滲む。何が起きているのか分からないから、余計に怖かった。
「おい、海」
名前を呼ばれ、声のする方を見ると、予想外。イブが壁をすり抜けて入ってきた。
イブが海って呼ぶの、初めてじゃなかったっけ?今まで名前なんて呼ばれたことなかったのに。
「話がある」
真剣な顔のイブを見ていると、やっぱりヤバいんだな、って嫌なほどに理解させられた。
リビングに行って、いつも座っているイスに座ると、イブはあたしの向かい側にドンッと腰を下ろした。
「お前とNo.8が、探されてる。見つかるのも時間の問題だ。」
あたしの目を見て唐突に話し始めたかと思えば、予想もしていなかった言葉がイブの口から発せられた。
「どういう意味…?」
あたしとハチが探されてる。もちろん、探しているのは死神だろう。