たった1ヶ月の恋

少し歩いていくと、周りにいた人たちは、いつの間にかいなくなっていた。

「飛ぶよ」

「へ?………うわぁっ」


急に抱き抱えられて、思わず変な声がでる。凄い勢いで宙に舞ったかと思えば、いつも同様、数秒後には家に着いていた。


「早く入れ」

ハチに地面に降ろされた途端に、イブが背中を押して早く家に入るように急かす。


何だかよく分からないけれど、急かされたから焦って家に入る。


ヤバいのかな…


手にジワリと汗が滲む。何が起きているのか分からないから、余計に怖かった。


「おい、海」


名前を呼ばれ、声のする方を見ると、予想外。イブが壁をすり抜けて入ってきた。


イブが海って呼ぶの、初めてじゃなかったっけ?今まで名前なんて呼ばれたことなかったのに。


「話がある」

真剣な顔のイブを見ていると、やっぱりヤバいんだな、って嫌なほどに理解させられた。


リビングに行って、いつも座っているイスに座ると、イブはあたしの向かい側にドンッと腰を下ろした。


「お前とNo.8が、探されてる。見つかるのも時間の問題だ。」

あたしの目を見て唐突に話し始めたかと思えば、予想もしていなかった言葉がイブの口から発せられた。


「どういう意味…?」

あたしとハチが探されてる。もちろん、探しているのは死神だろう。
< 97 / 202 >

この作品をシェア

pagetop