たった1ヶ月の恋
「あいつは戻ってくる。掟を破ってまでお前のこと守ってるんだぞ。」
そうだ。
ハチは掟を破ってるんだ。それも、全部あたしのために。今ハチが狙われてるのも、あたしのせい。
「最低…」
イブの様子からして、ハチが危ないのはすぐに分かった。
あたし最低。
いつも、あたしばっかり守ってもらってる。あたし、ハチに何かしてあげられたっけ?
「ハチ、今どこにいる…?」
今度はあたしが助けなきゃ。守らなきゃ。ハチがいつもしてくれてたみたいに。
「何でそんなこと聞くんだよ」
眉間にシワを寄せたイブが、あたしを睨みつける。その目には、悲しみや、悔しさ……いろんな感情が混ざっているように見えた。
「ハチを助けたいの。もしもハチが危ない目にあってるなら、あたしが助けに行く。」
特別な力があるわけでもなく、考えがあるわけでもない。ただ、助けたい。
あたしが行ったところでどうにかなるなんて、あり得ない話だけど。ジッとしていられない。
「バカじゃねぇの、お前に何が出来るんだよ。」