たった1ヶ月の恋

「あいつは戻ってくる。掟を破ってまでお前のこと守ってるんだぞ。」

そうだ。

ハチは掟を破ってるんだ。それも、全部あたしのために。今ハチが狙われてるのも、あたしのせい。


「最低…」

イブの様子からして、ハチが危ないのはすぐに分かった。


あたし最低。

いつも、あたしばっかり守ってもらってる。あたし、ハチに何かしてあげられたっけ?


「ハチ、今どこにいる…?」

今度はあたしが助けなきゃ。守らなきゃ。ハチがいつもしてくれてたみたいに。


「何でそんなこと聞くんだよ」

眉間にシワを寄せたイブが、あたしを睨みつける。その目には、悲しみや、悔しさ……いろんな感情が混ざっているように見えた。


「ハチを助けたいの。もしもハチが危ない目にあってるなら、あたしが助けに行く。」


特別な力があるわけでもなく、考えがあるわけでもない。ただ、助けたい。


あたしが行ったところでどうにかなるなんて、あり得ない話だけど。ジッとしていられない。


「バカじゃねぇの、お前に何が出来るんだよ。」

< 99 / 202 >

この作品をシェア

pagetop