自閉症児光の夢、それは働く人になりたい

年長、さくら組

年長になったある日、突然雨が振り出した。


傘は多分あるから大丈夫だと思うが、長靴は履いていかなかった事が気になる。


バス停まで迎えに行くと、光が大きな長靴を履いて下りて来た。


歩く度に長靴が脱げてしまう。


他のお母さんたちもかなり驚いていた。


その時、一人の男の子が。


「光君はいいなぁ、先生の長靴履いて。」


ニコニコ笑顔でズコズコ歩く光。


長靴の後ろに、担任の名前松田と書いてあった。


23、5cmの松田先生の長靴は大きくて当たり前なのだが。


他の子供たちは光が羨ましいと言う。


光のとんでもない行動を、決して非難しない子供たちにいつも感謝した。


そして光のヒーローヒデキ君のお母さんからは。


「ヒデキは光君といるようになって優しい子になったんです。感謝してます。」


そう思って貰えた事が本当に嬉しかった。


光は大きな長靴で走り回ってるし。


嬉し涙と、光の姿に笑えて、又涙。


光がみんなに迷惑かけていないか、いつも心配だったから。


光と又頑張って行こうと思えた。







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