To.カノンを奏でる君
この日から直樹は変わった。再び堂々と女の子のような格好をし、一人称を僕からアタシに改めた。
花音や祥多と仲良くなった直樹は毎日を楽しく過ごし、花音をノンノン、祥多をタータンと呼ぶようになった。
そう、直樹がこうして“女”でいられるのは、花音のお陰なのだ。だからこそ直樹は花音に対しての思い入れが強い。
しかしそれが恋愛対象としてなのかは、未だに謎である。
我に返った直樹は空を見上げた。いつの間にか暗くなって星が見える。
直樹は深い溜め息を吐いた。
「何やってんの、アタシ」
花音が大変な時に何を落ち込んでいるんだ、と自身を叱咤する。
「あーぁ。ぜーんぶ上手くいけばいいのに」
立ち上がり、うーんと背伸びをする。
落ち込んでいる暇などない。まだ美香子との決着は着いていないのだから。
歩き出そうとした直樹は、ふと振り返った。そして大きく目を見開く。
「ノンノン! どうしたの!」
慌てて、自分と反対側に座っていたらしい花音に駆け寄る。
気付いたらしい直樹に、花音はにっこり微笑んで立ち上がる。
「バレちゃったか」
楽しそうに笑う花音。直樹はただただ驚き、花音を見つめる。
「様子が変だったから、心配になって戻って来ちゃった」
「戻って来ちゃったって」
花音や祥多と仲良くなった直樹は毎日を楽しく過ごし、花音をノンノン、祥多をタータンと呼ぶようになった。
そう、直樹がこうして“女”でいられるのは、花音のお陰なのだ。だからこそ直樹は花音に対しての思い入れが強い。
しかしそれが恋愛対象としてなのかは、未だに謎である。
我に返った直樹は空を見上げた。いつの間にか暗くなって星が見える。
直樹は深い溜め息を吐いた。
「何やってんの、アタシ」
花音が大変な時に何を落ち込んでいるんだ、と自身を叱咤する。
「あーぁ。ぜーんぶ上手くいけばいいのに」
立ち上がり、うーんと背伸びをする。
落ち込んでいる暇などない。まだ美香子との決着は着いていないのだから。
歩き出そうとした直樹は、ふと振り返った。そして大きく目を見開く。
「ノンノン! どうしたの!」
慌てて、自分と反対側に座っていたらしい花音に駆け寄る。
気付いたらしい直樹に、花音はにっこり微笑んで立ち上がる。
「バレちゃったか」
楽しそうに笑う花音。直樹はただただ驚き、花音を見つめる。
「様子が変だったから、心配になって戻って来ちゃった」
「戻って来ちゃったって」