To.カノンを奏でる君
「幼なじみ…」
「そう。薄々気づいてはいたけど、二人が付き合い始めた時、悔しくてね。そのお姉さん・律ちゃんの悪い点を粗捜ししたわ。仲良かったし、羨ましかったから二人の仲を裂きたかった」
「松岡さん…」
「でも、私が何もしない内に二人は別れたの」
「え?! 好き同士だったんじゃ…!」
幼なじみの交際話はどうしても、自分の状況と比較したり置き換えたりしてしまう花音は、由希の言葉の真意を問いただした。
「双方の好きは違っていたの」
「……?」
「新ちゃんは律ちゃんを女性として好きだったけど、律ちゃんは新ちゃんを憧れのように慕っていただけだったのよ」
一方は恋愛対象として見ていても、一方は兄弟のように慕っていた。そこが別れてしまった双方の食い違いなのだろうか。
花音が思案していると、由希は優しく笑って言った。
「でもね、二人が別れた理由はそれが第一じゃなかった」
「そうなんですか?」
「花音ちゃん。もし、彼氏を残して逝かなければならないとしたらどうする?」
「え……」
「別れる事は全く考えない? 寧ろ別れる事を考えるんじゃないかな。つらい思いをさせるくらいならって」
由希の明かされる真実に、花音はただただ驚いていた。
どうすればいいのかも分からずに戸惑う。
「これが新ちゃん」
すっと由希が差し出した写真には、優しそうな少年がまっすぐにこちらを見つめていた。
「そう。薄々気づいてはいたけど、二人が付き合い始めた時、悔しくてね。そのお姉さん・律ちゃんの悪い点を粗捜ししたわ。仲良かったし、羨ましかったから二人の仲を裂きたかった」
「松岡さん…」
「でも、私が何もしない内に二人は別れたの」
「え?! 好き同士だったんじゃ…!」
幼なじみの交際話はどうしても、自分の状況と比較したり置き換えたりしてしまう花音は、由希の言葉の真意を問いただした。
「双方の好きは違っていたの」
「……?」
「新ちゃんは律ちゃんを女性として好きだったけど、律ちゃんは新ちゃんを憧れのように慕っていただけだったのよ」
一方は恋愛対象として見ていても、一方は兄弟のように慕っていた。そこが別れてしまった双方の食い違いなのだろうか。
花音が思案していると、由希は優しく笑って言った。
「でもね、二人が別れた理由はそれが第一じゃなかった」
「そうなんですか?」
「花音ちゃん。もし、彼氏を残して逝かなければならないとしたらどうする?」
「え……」
「別れる事は全く考えない? 寧ろ別れる事を考えるんじゃないかな。つらい思いをさせるくらいならって」
由希の明かされる真実に、花音はただただ驚いていた。
どうすればいいのかも分からずに戸惑う。
「これが新ちゃん」
すっと由希が差し出した写真には、優しそうな少年がまっすぐにこちらを見つめていた。