To.カノンを奏でる君
意味不明な事を言い出す早河に、花音は首を傾げる。
早河は何となく気まずそうに顔を背け、口を開いた。
「お前さ、この三年間彼氏作んなかったじゃん。何で?」
意表を突かれた花音は目を瞠った。
ゆっくりと顔を上げ、早河を見つめる。
「いろんな奴に告られても必ず断ってたじゃん」
この三年間、花音は数多の男子から想いを告げられていた。
頭も良く、しっかり者でピアノも上手いとなると周囲の男子が放って置かなかった。
真面目だったり優しかったり騒がしかったり。本当にいろんな男子逹が寄って来たが、花音は誰一人として受け入れる事はなかった。
それが早河にとっては不思議で仕方なかった。
もしかすると花音には忘れられない男がいるのかもしれない。他に好きな男がいるのかもしれないと早河は憶測を立てていた。
「別に関係ないでしょ、早河君には」
「ある。好きな奴の事は知りたいって思うのが普通だろ?」
「……!」
これには花音も絶句した。
三年間友達だと思っていた男が、いきなり友達として見ていなかった事をカミングアウトして来たのだ。
開いた口が塞がらない。
「なぁ、どうなんだよ」
「ど、どうって……」
「好きな奴がいんだろ? どこの誰なんだよ」
「そ……れは」
「草薙」
肩を掴まれ、身動き出来ない状態の花音はどうする事も出来ずに戸惑う。
祥多の事を簡単に口に出来るほど、花音の心の整理はまだ出来ていない。
早河は何となく気まずそうに顔を背け、口を開いた。
「お前さ、この三年間彼氏作んなかったじゃん。何で?」
意表を突かれた花音は目を瞠った。
ゆっくりと顔を上げ、早河を見つめる。
「いろんな奴に告られても必ず断ってたじゃん」
この三年間、花音は数多の男子から想いを告げられていた。
頭も良く、しっかり者でピアノも上手いとなると周囲の男子が放って置かなかった。
真面目だったり優しかったり騒がしかったり。本当にいろんな男子逹が寄って来たが、花音は誰一人として受け入れる事はなかった。
それが早河にとっては不思議で仕方なかった。
もしかすると花音には忘れられない男がいるのかもしれない。他に好きな男がいるのかもしれないと早河は憶測を立てていた。
「別に関係ないでしょ、早河君には」
「ある。好きな奴の事は知りたいって思うのが普通だろ?」
「……!」
これには花音も絶句した。
三年間友達だと思っていた男が、いきなり友達として見ていなかった事をカミングアウトして来たのだ。
開いた口が塞がらない。
「なぁ、どうなんだよ」
「ど、どうって……」
「好きな奴がいんだろ? どこの誰なんだよ」
「そ……れは」
「草薙」
肩を掴まれ、身動き出来ない状態の花音はどうする事も出来ずに戸惑う。
祥多の事を簡単に口に出来るほど、花音の心の整理はまだ出来ていない。