To.カノンを奏でる君
決心が、揺らいだ。
あんなに優しく自分を見つめてくれていた祥多を、自分は切り捨てて良いのだろうかと。
どんなに時間がかかろうと待ち続ける事が、あんなに想ってくれていた祥多に出来る恩返しなのではないか。
果たして、自分だけが幸せになる道を歩んでも良いのだろうか。
三月以内に目覚めなければ、新しい道を歩んで行くと決めた心が、苦しいほどに揺らぐ。
(祥ちゃん、祥ちゃん。どうして欲しい? 私には決められないよ…)
本当に、どうしたら良いのか分からない花音は溢れる涙を止める事が出来なかった。
気持ちが落ち着くまで泣いていた花音は、カバンの中で携帯電話が震えているのに気がついた。
慌てて取り出し、サブディスプレイを見ると葉山美香子と表示されていた。
一緒に見ていた直樹が不思議そうに、いつの間に電話番号を交換していたんだと呟いた。
花音は卒業式の日だと答えると、一足先に展示会場を出る。
会場を出るなり、花音はすぐに電話に出た。
『もしもし』
『花音ちゃん! 早く、早く幸場病院に来て!』
『美香子ちゃん? どうしたの? 祥ちゃんに何か』
『目覚めたのっ!!』
『目覚……めた……?』
『いいから早く来て! ね?!』
それだけ言うと、美香子は勢い良く電話を切った。
直樹にもその会話は聞こえていたらしく、呆然と立ち尽くす花音の手を引いて勢い良く階段を駆け下りた。
我に返った花音は慌てて直樹について行く。
(祥ちゃんが……祥ちゃんが目覚めた……っ!!)
あんなに優しく自分を見つめてくれていた祥多を、自分は切り捨てて良いのだろうかと。
どんなに時間がかかろうと待ち続ける事が、あんなに想ってくれていた祥多に出来る恩返しなのではないか。
果たして、自分だけが幸せになる道を歩んでも良いのだろうか。
三月以内に目覚めなければ、新しい道を歩んで行くと決めた心が、苦しいほどに揺らぐ。
(祥ちゃん、祥ちゃん。どうして欲しい? 私には決められないよ…)
本当に、どうしたら良いのか分からない花音は溢れる涙を止める事が出来なかった。
気持ちが落ち着くまで泣いていた花音は、カバンの中で携帯電話が震えているのに気がついた。
慌てて取り出し、サブディスプレイを見ると葉山美香子と表示されていた。
一緒に見ていた直樹が不思議そうに、いつの間に電話番号を交換していたんだと呟いた。
花音は卒業式の日だと答えると、一足先に展示会場を出る。
会場を出るなり、花音はすぐに電話に出た。
『もしもし』
『花音ちゃん! 早く、早く幸場病院に来て!』
『美香子ちゃん? どうしたの? 祥ちゃんに何か』
『目覚めたのっ!!』
『目覚……めた……?』
『いいから早く来て! ね?!』
それだけ言うと、美香子は勢い良く電話を切った。
直樹にもその会話は聞こえていたらしく、呆然と立ち尽くす花音の手を引いて勢い良く階段を駆け下りた。
我に返った花音は慌てて直樹について行く。
(祥ちゃんが……祥ちゃんが目覚めた……っ!!)