To.カノンを奏でる君
「ちょっとタータン、それはないんじゃないの?」
小さくなる花音を庇うようにして前に出た直樹は、責めるように祥多を見た。
花音の事は覚えていないが、美香子には覚えがある。その事に直樹は納得がいかなかった。
美香子が嫌だという感情は既にない。ただ、あれほどまでに花音を大切に想っていた祥多が、直樹は好きだったのだ。
一番大切な花音を同じように一番大切に想っていた祥多を親友と思い、同志だと思っていた。
それを否定されたような気分になった直樹は、祥多を糾弾する。
「ノンノンを想う気持ちは、それっぽっちだったって事? 忘れてしまうくらい、簡単な想いだったの?」
「花園君、言い過ぎっ」
「黙ってて。こんな形でノンノンを傷つけるなんて許せない。一体、何度ノンノンを傷つけたと思ってんの?」
「花園君!」
「悔しかったら思い出してみなさいよ。自分より大切だったんでしょう? かけがえのない存在だったんでしょう?」
「やめて!!」
美香子の怒鳴り声に、直樹は大きな溜め息を吐いた。
美香子に庇われている祥多の姿に苛立ちが収まらず、キッと睨みつける。
その態度が尚更花音を傷つけている事を、何も知らない彼は気づかない。
後ろで俯く花音を案じ、直樹は吊り上げていた眉を下げた。そして、その目を祥多に向ける。
「タータン、思い出してよ。お願い……これ以上、ノンノンを苦しめないで」
俯く直樹を、祥多は不安そうに見つめた。
切実に訴える直樹の言葉が祥多の胸に突き刺さっている。
小さくなる花音を庇うようにして前に出た直樹は、責めるように祥多を見た。
花音の事は覚えていないが、美香子には覚えがある。その事に直樹は納得がいかなかった。
美香子が嫌だという感情は既にない。ただ、あれほどまでに花音を大切に想っていた祥多が、直樹は好きだったのだ。
一番大切な花音を同じように一番大切に想っていた祥多を親友と思い、同志だと思っていた。
それを否定されたような気分になった直樹は、祥多を糾弾する。
「ノンノンを想う気持ちは、それっぽっちだったって事? 忘れてしまうくらい、簡単な想いだったの?」
「花園君、言い過ぎっ」
「黙ってて。こんな形でノンノンを傷つけるなんて許せない。一体、何度ノンノンを傷つけたと思ってんの?」
「花園君!」
「悔しかったら思い出してみなさいよ。自分より大切だったんでしょう? かけがえのない存在だったんでしょう?」
「やめて!!」
美香子の怒鳴り声に、直樹は大きな溜め息を吐いた。
美香子に庇われている祥多の姿に苛立ちが収まらず、キッと睨みつける。
その態度が尚更花音を傷つけている事を、何も知らない彼は気づかない。
後ろで俯く花音を案じ、直樹は吊り上げていた眉を下げた。そして、その目を祥多に向ける。
「タータン、思い出してよ。お願い……これ以上、ノンノンを苦しめないで」
俯く直樹を、祥多は不安そうに見つめた。
切実に訴える直樹の言葉が祥多の胸に突き刺さっている。