To.カノンを奏でる君
「多分、時枝さんを一途に想い続ける草薙の姿に惹かれたんだと思います」
「ふふっ…。私と同じ事言うのね、早河君」
「え?」
「私も、花音ちゃんを一途に想い続ける祥多君の姿に惹かれたのよ」
「えぇ?! 葉山さんの好きな人って時枝さんなんですか?!」
「? ええ。とは言っても、もう諦めがついたんだけど。いけない?」
「あ、いや、俺はてっきり花園と付き合ってるのだと…」
「えっ?! や、やだ、そんな訳ないでしょ!」
「すんません」
「もう」
美香子は真っ赤になった顔をピタピタと叩きながら、直樹から顔を背けた。
(どうして私が赤くならなきゃいけないのよっ! 直樹君のバカ!!)
若干言いがかりのような文句を呟きながら、せかせかと歩き出す。
美香子と距離が広がる中、直樹は笑っていた。
「可愛いなぁ、葉山さん」
そう思える今の自分はおかしいなと思いながらも、美香子と大きいな間が開かないように足を速める。
三年前は絶対に相容れないと思っていた美香子を、今ではこんな風に可愛いと思ったりもする。
本当に、人生とは先が予測出来ないものだ。
「花園は、葉山さんが好きなんだな」
「───え?」
「違うのか?」
「あ……いや、アタシが葉山さんを、ねぇ…」
「花園?」
「んふふ。なーいしょ!」
「え」
「待って~、葉山さぁん!」
意味深長に笑い、直樹は美香子の元へと駆けて行った。
早河は、良い感じなんだけどなと思いながら、その後を追う。
(葉山さんを見つめる花園の目は、男っぽかった気がする)
──そう、それぞれの歯車は、まだ動き出したばかり。
「ふふっ…。私と同じ事言うのね、早河君」
「え?」
「私も、花音ちゃんを一途に想い続ける祥多君の姿に惹かれたのよ」
「えぇ?! 葉山さんの好きな人って時枝さんなんですか?!」
「? ええ。とは言っても、もう諦めがついたんだけど。いけない?」
「あ、いや、俺はてっきり花園と付き合ってるのだと…」
「えっ?! や、やだ、そんな訳ないでしょ!」
「すんません」
「もう」
美香子は真っ赤になった顔をピタピタと叩きながら、直樹から顔を背けた。
(どうして私が赤くならなきゃいけないのよっ! 直樹君のバカ!!)
若干言いがかりのような文句を呟きながら、せかせかと歩き出す。
美香子と距離が広がる中、直樹は笑っていた。
「可愛いなぁ、葉山さん」
そう思える今の自分はおかしいなと思いながらも、美香子と大きいな間が開かないように足を速める。
三年前は絶対に相容れないと思っていた美香子を、今ではこんな風に可愛いと思ったりもする。
本当に、人生とは先が予測出来ないものだ。
「花園は、葉山さんが好きなんだな」
「───え?」
「違うのか?」
「あ……いや、アタシが葉山さんを、ねぇ…」
「花園?」
「んふふ。なーいしょ!」
「え」
「待って~、葉山さぁん!」
意味深長に笑い、直樹は美香子の元へと駆けて行った。
早河は、良い感じなんだけどなと思いながら、その後を追う。
(葉山さんを見つめる花園の目は、男っぽかった気がする)
──そう、それぞれの歯車は、まだ動き出したばかり。