To.カノンを奏でる君
昔からの癖なのか、思っている事をはっきり話していた。
祥多は考えを隠す事を諦めた。花音に追及されると敵わない。
「花音、俺に関わるのはもうよせ。俺はお前に何もしてやれない」
「……じゃあ、約束は撤回しないって言うの…?」
「ああ」
「っ、勝手な事ばかり言わないでよ! 確かに傷つきもしたし苦しみもした! でもそれは人間だったら当たり前の事でしょう?!」
「花音…」
「大体、祥ちゃんだってつらかったじゃない! 何で私の事ばっかり労るの?」
「今までずっと、お前は俺に縛られて来た。俺に振り回され続けて来た」
「勝手に決めないで! 私の事は私が決める!」
花音は泣きそうになりながら祥多を睨みつけた。
祥多は苦しげに顔を歪める。
「私は後悔なんてしてない。祥ちゃんの傍にいて、祥ちゃんと過ごして来た事を幸せに思ってる。どうして伝わらないの?」
「…………」
「伝わらない、んだね。祥ちゃん。どんな言葉も、信じてもらえないんだね」
花音の言葉がグサリと突き刺さった。
(違う、そうじゃない)
「花音。俺は」
「聞きたくない。もういい」
また傷つけた。本当に、傷つけるばかり。
(どうすればいい。俺はどうすればいい……)
何も分からない。
好きだと思う気持ちは本当で、傷つけたくないと思う気持ちも本当で。双方とも譲れない。
何が最善なのか分からなくなった祥多は、全てを花音に委ねる事にした。一先ず、花音が第一に望む事をしようと。
祥多は考えを隠す事を諦めた。花音に追及されると敵わない。
「花音、俺に関わるのはもうよせ。俺はお前に何もしてやれない」
「……じゃあ、約束は撤回しないって言うの…?」
「ああ」
「っ、勝手な事ばかり言わないでよ! 確かに傷つきもしたし苦しみもした! でもそれは人間だったら当たり前の事でしょう?!」
「花音…」
「大体、祥ちゃんだってつらかったじゃない! 何で私の事ばっかり労るの?」
「今までずっと、お前は俺に縛られて来た。俺に振り回され続けて来た」
「勝手に決めないで! 私の事は私が決める!」
花音は泣きそうになりながら祥多を睨みつけた。
祥多は苦しげに顔を歪める。
「私は後悔なんてしてない。祥ちゃんの傍にいて、祥ちゃんと過ごして来た事を幸せに思ってる。どうして伝わらないの?」
「…………」
「伝わらない、んだね。祥ちゃん。どんな言葉も、信じてもらえないんだね」
花音の言葉がグサリと突き刺さった。
(違う、そうじゃない)
「花音。俺は」
「聞きたくない。もういい」
また傷つけた。本当に、傷つけるばかり。
(どうすればいい。俺はどうすればいい……)
何も分からない。
好きだと思う気持ちは本当で、傷つけたくないと思う気持ちも本当で。双方とも譲れない。
何が最善なのか分からなくなった祥多は、全てを花音に委ねる事にした。一先ず、花音が第一に望む事をしようと。