To.カノンを奏でる君
「覚えてたの?」
「ああ」
直樹は久しぶりに耳にする好きな曲に聴き入った。懐かしい、思い出の曲だ。
「ねぇ、何でこの曲が好きなのか覚えてる?」
「花音がお前の為に覚えた曲だからだろ」
「ふふ、当たり」
あれは小学一年の頃だ。たまたま学校で流れていたこのトロイメライを、良い曲だねと口にしたのが発端だった。
それを隣で聞いていた花音が直樹の為に猛練習して覚え、直樹の誕生日にプレゼントしてくれたのだ。
「……やっぱお前、花音に惚れてるだろ」
「さあ? どうだろうね」
悪戯な笑みを浮かべ、ピアノに凭れかかる直樹。
優しい曲調が、心に染み渡る。
「あー、やっぱりトロイメライはノンノンが弾いてくれた音じゃなきゃダメね」
「はぁ?!」
曲が一時停止する。
「私の中ではノンノンのトロイメライの方が格段に上手いわ」
どんなに技術が上手くても、心が込もっていなければ意味がない。
「ワガママ言うな!」
「言ってないわよ。素直な気持ち」
「何だとぉ?!」
眉を吊り上げ、闘心剥き出しの祥多。直樹はそんな祥多を見て笑う。
そんな事をしている内に花音が戻って来た。いつもの笑顔で、泣いた様子など微塵も感じさせない。
「ちょうど良いところに戻って来たわ、ノンノン! トロイメライ弾いて?」
「ああ」
直樹は久しぶりに耳にする好きな曲に聴き入った。懐かしい、思い出の曲だ。
「ねぇ、何でこの曲が好きなのか覚えてる?」
「花音がお前の為に覚えた曲だからだろ」
「ふふ、当たり」
あれは小学一年の頃だ。たまたま学校で流れていたこのトロイメライを、良い曲だねと口にしたのが発端だった。
それを隣で聞いていた花音が直樹の為に猛練習して覚え、直樹の誕生日にプレゼントしてくれたのだ。
「……やっぱお前、花音に惚れてるだろ」
「さあ? どうだろうね」
悪戯な笑みを浮かべ、ピアノに凭れかかる直樹。
優しい曲調が、心に染み渡る。
「あー、やっぱりトロイメライはノンノンが弾いてくれた音じゃなきゃダメね」
「はぁ?!」
曲が一時停止する。
「私の中ではノンノンのトロイメライの方が格段に上手いわ」
どんなに技術が上手くても、心が込もっていなければ意味がない。
「ワガママ言うな!」
「言ってないわよ。素直な気持ち」
「何だとぉ?!」
眉を吊り上げ、闘心剥き出しの祥多。直樹はそんな祥多を見て笑う。
そんな事をしている内に花音が戻って来た。いつもの笑顔で、泣いた様子など微塵も感じさせない。
「ちょうど良いところに戻って来たわ、ノンノン! トロイメライ弾いて?」