To.カノンを奏でる君
「つらかったらすぐに電話しろ。いいか、抱え込むなよ」
「うん」
「……頑張れよ」
「ありがとう」
泣きそうに微笑む花音の手を引き、祥多は自分の唇を花音の唇に押しつけた。数秒間のキス。
花音は驚き、美香子は唖然。直樹は笑い、早河は呆れ顔。
「ちょ……祥ちゃん! やめてよ、外でキスなんて!!」
真っ赤になりながら怒る花音の頭を撫で、祥多は楽しそうに笑っていた。
直樹はにやりと含み笑いし、花音と祥多にこっそりと尋ねる。
「その様子だと、二人きりで充分ラブラブしてたみたいね? もう済ませたの?」
「なっ?!」
「まだだ」
「祥ちゃん! そんなあっさり普通に真顔で答えないでよっ」
「ここは普通に答えた方がいいんだよ。二人して黙ったらそれこそ直の思うツボだ。からかわれるに決まってる」
あっさりと切り返された直樹は、つまらなさそうに舌打ちする。
確かに祥多の言う通りだった。真っ赤になった二人をからかって楽しもうと目論んでいたのだ。
当てが外れた直樹は大いに悔しがる。
「大体な、これから大学入って勉強する奴を身重にさせられるかよ」
「じゃあ何、大学卒業まで待つつもり?」
「当たり前だ」
「………。その調子で結婚式は40歳とかやめてよね」
「バカか、お前。結婚は大学卒業したらすぐだ」
これには直樹も唖然とする。まさかそこまで、交際を始めてからの数日間の内に話し合っていたとは。
直樹には相当な衝撃だった。恋愛に関して二人はもっと、結婚式などを後回しにするタイプのように思っていた。
「うん」
「……頑張れよ」
「ありがとう」
泣きそうに微笑む花音の手を引き、祥多は自分の唇を花音の唇に押しつけた。数秒間のキス。
花音は驚き、美香子は唖然。直樹は笑い、早河は呆れ顔。
「ちょ……祥ちゃん! やめてよ、外でキスなんて!!」
真っ赤になりながら怒る花音の頭を撫で、祥多は楽しそうに笑っていた。
直樹はにやりと含み笑いし、花音と祥多にこっそりと尋ねる。
「その様子だと、二人きりで充分ラブラブしてたみたいね? もう済ませたの?」
「なっ?!」
「まだだ」
「祥ちゃん! そんなあっさり普通に真顔で答えないでよっ」
「ここは普通に答えた方がいいんだよ。二人して黙ったらそれこそ直の思うツボだ。からかわれるに決まってる」
あっさりと切り返された直樹は、つまらなさそうに舌打ちする。
確かに祥多の言う通りだった。真っ赤になった二人をからかって楽しもうと目論んでいたのだ。
当てが外れた直樹は大いに悔しがる。
「大体な、これから大学入って勉強する奴を身重にさせられるかよ」
「じゃあ何、大学卒業まで待つつもり?」
「当たり前だ」
「………。その調子で結婚式は40歳とかやめてよね」
「バカか、お前。結婚は大学卒業したらすぐだ」
これには直樹も唖然とする。まさかそこまで、交際を始めてからの数日間の内に話し合っていたとは。
直樹には相当な衝撃だった。恋愛に関して二人はもっと、結婚式などを後回しにするタイプのように思っていた。