To.カノンを奏でる君
 祥多は顔を真っ赤にして直樹に抗議する。それを受けた直樹は腹を抱えて一人大笑いしている。

 何のアルバムか分からない花音は首を傾げる。


 ―──花音しか写っていないアルバムだと花音が知るのは、もっと後の話。


「じゃあ祥ちゃん、私からのプレゼント」


 花音は青色の袋を差し出す。

 受け取った祥多は中身を取り出す。出て来たのは、深緑と灰色の色で編まれたマフラーだった。


「ほら、祥ちゃんたまに外に出るでしょ? その時の為に。……やっぱり気持ち悪いかな、手編みのマフラーなんて」


 花音は頬を赤く染めながら尋ねる。祥多は慌てて首を横に振った。


「んな事ねぇよ! すげぇ嬉しい!」


 少し無理があるが、また本心なのでいいと祥多は思う。

 花音は赤に染めたまま、嬉しそうに笑った。直樹はやれやれという風な仕草をする。


「じゃあ次はノンノンね」


 直樹に言われ、花音は一気に楽しそうにする。


 はい、と渡された橙色の袋を開けると、出て来たのは羽をモチーフにしたらしいブレスレット。


「わ、可愛いーっ!」

「でしょう? 一目惚れなの」

「ありがとう、直ちゃん!」

「どういたしまして」


 早速花音はブレスレットを左腕につける。ちょうど良いサイズで、花音は気に入ったようだ。
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