To.カノンを奏でる君
「あ、言い忘れてた」
祥多は思い出したように言う。三人の視線が一度に祥多の元に集まった。
祥多はにやりと笑う。
「朗報だぜ。俺、来週から一週間だけ学校通わせてもらえる事になった」
「え……えぇ?! 本当なの、祥ちゃん!」
「おう。やっと許可もらったんだぜ」
嬉しそうに笑う祥多に、直樹も満面の笑みを浮かべる。
「やったわね、タータン!」
「サンキュ、直」
はしゃぐ三人に対し、美香子は一人取り残される。
(学校に通えるって、そんなにはしゃぐもんだっけ?)
三人が喜んでいる事に不思議がっていると、花音が美香子に言った。
「祥ちゃんね、中学校に一日も通った事がないんだ。中学校入る前に、長く入院する事になってね」
(あぁ、だから……)
葉山は妙に納得する。
中学校に一日も通った事がないのなら、中学校で味わえる楽しさも平凡さも分からない。
教えられて、美香子は自分が部外者だという事を強く感じた。
思えば祥多の病名も知らない。知らない事だらけだ。
(まただ……)
自分だけ異空間にいるような疎外感。美香子はそれをとても嫌っていた。
弟の事で、嫌というほどに感じて来たからだ。
(居場所……私に居場所はないの?)
美香子は泣きたい気持ちを抑え、俯く。
祥多は思い出したように言う。三人の視線が一度に祥多の元に集まった。
祥多はにやりと笑う。
「朗報だぜ。俺、来週から一週間だけ学校通わせてもらえる事になった」
「え……えぇ?! 本当なの、祥ちゃん!」
「おう。やっと許可もらったんだぜ」
嬉しそうに笑う祥多に、直樹も満面の笑みを浮かべる。
「やったわね、タータン!」
「サンキュ、直」
はしゃぐ三人に対し、美香子は一人取り残される。
(学校に通えるって、そんなにはしゃぐもんだっけ?)
三人が喜んでいる事に不思議がっていると、花音が美香子に言った。
「祥ちゃんね、中学校に一日も通った事がないんだ。中学校入る前に、長く入院する事になってね」
(あぁ、だから……)
葉山は妙に納得する。
中学校に一日も通った事がないのなら、中学校で味わえる楽しさも平凡さも分からない。
教えられて、美香子は自分が部外者だという事を強く感じた。
思えば祥多の病名も知らない。知らない事だらけだ。
(まただ……)
自分だけ異空間にいるような疎外感。美香子はそれをとても嫌っていた。
弟の事で、嫌というほどに感じて来たからだ。
(居場所……私に居場所はないの?)
美香子は泣きたい気持ちを抑え、俯く。