To.カノンを奏でる君
そんな美香子の異変に気づいたのは、祥多だった。
「葉山? どうした?」
「え?」
「気分悪ィのか?」
「あ……大丈夫」
「そか。つらい時はつらいって言わねーと損するぜ?」
「う、うん」
ニカッと歯を見せ笑う祥多に、美香子の胸は早鐘のように打つ。
そうだ、祥多の病室は美香子が初めて見つけた自分の居場所。
美香子は祥多を見つめる。
(そうだよ。やっと見つけたの。だから…)
奪られるわけにはいかないと強く思う。
例えそれが幼なじみで優位な花音相手でも、確保した心休まる居場所を守る為ならば何でもする。
美香子は、自身にそんな誓いを立てた。
起きなさいと言う母の声がする前に、目覚めた花音。起き上がって目を擦りながらベッドを整え、着替えに移る。
いつもより少し早起きなのは、今日が特別な日だからかもしれない。
今日から祥多は、一週間だけ学校に通う事が許されている。
小学校卒業以来、学校に登校する事はなく、楽しみにしていた祥多。
しかし、この日を楽しみにしていたのは祥多だけではない。共に苦しんで来た花音も直樹も、楽しみにしていた。
花音は紺色のリボンを結び、青色のブレザーを羽織った。
全身鏡に自身を映し、おかしな所はないか確かめる。
「ん、大丈夫かな」
昨日の内で準備しておいたカバンを持ち、花音は部屋を出た。
「葉山? どうした?」
「え?」
「気分悪ィのか?」
「あ……大丈夫」
「そか。つらい時はつらいって言わねーと損するぜ?」
「う、うん」
ニカッと歯を見せ笑う祥多に、美香子の胸は早鐘のように打つ。
そうだ、祥多の病室は美香子が初めて見つけた自分の居場所。
美香子は祥多を見つめる。
(そうだよ。やっと見つけたの。だから…)
奪られるわけにはいかないと強く思う。
例えそれが幼なじみで優位な花音相手でも、確保した心休まる居場所を守る為ならば何でもする。
美香子は、自身にそんな誓いを立てた。
起きなさいと言う母の声がする前に、目覚めた花音。起き上がって目を擦りながらベッドを整え、着替えに移る。
いつもより少し早起きなのは、今日が特別な日だからかもしれない。
今日から祥多は、一週間だけ学校に通う事が許されている。
小学校卒業以来、学校に登校する事はなく、楽しみにしていた祥多。
しかし、この日を楽しみにしていたのは祥多だけではない。共に苦しんで来た花音も直樹も、楽しみにしていた。
花音は紺色のリボンを結び、青色のブレザーを羽織った。
全身鏡に自身を映し、おかしな所はないか確かめる。
「ん、大丈夫かな」
昨日の内で準備しておいたカバンを持ち、花音は部屋を出た。