To.カノンを奏でる君
「あー…」
苦笑して祥多は言葉を濁す。すると、さりげなく背後から祥多の腕を組む者が現れた。
「祥多君の彼女? 私っ!」
躊躇いもなく公衆の面前で断言した美香子に、祥多も花音も直樹も目を丸くする。
「……葉山?」
祥多は声をかけるが、美香子は笑ったまま答えない。
花音は直樹のシャツの袖を掴んだ。微かに震える花音に、直樹は優しく頭を撫でる。
それと同時に、直樹は美香子に対して沸々と怒りが込み上げる。
本当に、何振り構わない身勝手な女だ。
「美香子ちゃんの彼氏?!」
「きゃー! 美男美女でお似合い!」
そんな騒ぎの中、花音は俯き、唇を噛む。直樹は否定しない祥多に苛立っていた。
「次。音楽よ」
「ぁ……ああ、」
ぼーっとしている祥多に、直樹は冷たく声をかける。
祥多は辺りを見回し、花音の姿がない事に気づく。
「直、花音は」
「先に移動したわ」
「何で」
「……何で? 早く移動しなさいよ。私も先行くわ」
「えっ? ちょ、俺中学初めて…」
「彼女さんに教えてもらえば?」
にっこりと笑み、直樹は教室から出て行った。
祥多は冷や汗をかく。
状況が分かったのだ。突然の事にすぐさま否定出来なかったとはいえ、甘んじてそれを受けていた。
それに対し花音は良く思わず、そして直樹も良く思わなかったのだ。
祥多は状況を理解し、大きな溜め息を吐いた。
「祥多君、音楽室行こ? 案内してあげる!」
美香子は上機嫌で祥多に声をかける。
祥多は朝だというのに疲れた顔をして、美香子を見る。
苦笑して祥多は言葉を濁す。すると、さりげなく背後から祥多の腕を組む者が現れた。
「祥多君の彼女? 私っ!」
躊躇いもなく公衆の面前で断言した美香子に、祥多も花音も直樹も目を丸くする。
「……葉山?」
祥多は声をかけるが、美香子は笑ったまま答えない。
花音は直樹のシャツの袖を掴んだ。微かに震える花音に、直樹は優しく頭を撫でる。
それと同時に、直樹は美香子に対して沸々と怒りが込み上げる。
本当に、何振り構わない身勝手な女だ。
「美香子ちゃんの彼氏?!」
「きゃー! 美男美女でお似合い!」
そんな騒ぎの中、花音は俯き、唇を噛む。直樹は否定しない祥多に苛立っていた。
「次。音楽よ」
「ぁ……ああ、」
ぼーっとしている祥多に、直樹は冷たく声をかける。
祥多は辺りを見回し、花音の姿がない事に気づく。
「直、花音は」
「先に移動したわ」
「何で」
「……何で? 早く移動しなさいよ。私も先行くわ」
「えっ? ちょ、俺中学初めて…」
「彼女さんに教えてもらえば?」
にっこりと笑み、直樹は教室から出て行った。
祥多は冷や汗をかく。
状況が分かったのだ。突然の事にすぐさま否定出来なかったとはいえ、甘んじてそれを受けていた。
それに対し花音は良く思わず、そして直樹も良く思わなかったのだ。
祥多は状況を理解し、大きな溜め息を吐いた。
「祥多君、音楽室行こ? 案内してあげる!」
美香子は上機嫌で祥多に声をかける。
祥多は朝だというのに疲れた顔をして、美香子を見る。