恋々綴り。【短編集】

#18



「美味しい!!」

「それ食ったら帰れよ」



 甘いものって幸せすぎて顔がゆるむ。エプロンを取った彼はため息を付きながら、私の真正面に座った。
 彼が作ったのはお手製、シュークリームだ。バニラの香りとさくさくのシュー生地は本当にマッチしている。頬張るとカスタードと生クリームが溶け合う。


「いつも幸せそうに食うよな」

 ふ、と笑って私の唇をぐいっと拭った。

 あ……………。


 手に付いた生クリームを彼は舐めとって、不敵な笑顔のまま彼はさらに爆弾投下を行う。


「毎日食べさせてあげるからさ、ここ住む?」


 合鍵を机に置き、放心状態の私にあげる、と言って。



「明日、楽しみにしてるから」 



 と家を放り出された。



Fin
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