恋々綴り。【短編集】

#3



 毎日私が図書館に通う理由。


 勉強スペースでしっかり辞書を広げている、大学生を見るためだと言っていい。


 今日も。


 だけど何故か、目が合った。
 ただ、離すことができなくて。

 離せないでいると、眼鏡越しの目が柔らかくなった気がした。



 そして、手招き。



「…………ここ、来ませんか?」



 意外にも低いその声に、胸が高鳴ったのは言うまでもない。


 近くなった距離に、踏み出した足が震えた。



Fin
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