甘い匂いに誘われて…
「何さりげなく名前で呼んでるんですか。それに本当は、私と二人っきりになりたかっただけなんじゃないですか?」



彼に見つめられる事が堪らなく恥ずかしくなり、思わず顔をそらし悪態をつく。




ガタッ




突然立ち上がった彼に驚いていると、頬にあった手が顎に滑り、俯いていた私の顔を無理やり持ち上げた。



異常な近さに又も顔を伏せようとするが、顎をがっちりと掴まれていてどうしようもない。

寧ろ逸らそうとした事に気づいたのか、更に顔を近づけてくる。





「そうだと言ったら?」



薄い唇の端を淡く上げた彼の顔は、今までに見たどの彼よりも妖艶な雰囲気を放っていた。
< 4 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop