『A』
 
………

「フム、美味かった…
なかなかの腕だな、山田さん
…クリームの中に僅かだが苺のジャムが混ぜてあるだろう?」

「わ、凄い!
よく気付きましたね」

「フッ、伊達に貝原先生の美食CLUBのメンバーの一人じゃないぞ…、私は」

「キョーコ、ネタが危険です」

「美味しいジャムを近くのパン屋さんで買ったので…裏ごししてクリームに混ぜてみたんです」

「素晴らしい…
そうだ、おいヒメ
山田さんからケーキの作り方を習ってみたらどうだ?」

「!それは…ナイスですね
ナツコ、よろしくです」

「え?あ…ハイ」

「フム、じゃあ、今後の流れだが…
山田さんには、今日からウチで暮らして貰う
そして、鷹橋は、吉村さん宅に居候…で、各自いいかな?」

「はい…よろしくお願いします」

「あの…着替えとか取りに帰りたいんですが…」

「ああ…みかん!一緒に付いていってやってくれ」

「らじゃー」

「………ついでに、ケーキの材料も買って来い」

「ラジャー!!」

先程より返事がいい美柑、甘い物恐るべし。

「では行きましょうか、吉村君
車でお送りしますよ」

「あ、ありがとうございます」

「山田君と美柑も…途中まで送りますよ」

四人が事務所を出て行く、それを見送りながら…

「これは…デカイおもちゃが手に入りそうな予感?」

一人ニヤリとほくそ笑む響子、その笑顔は、完全に悪者のソレであった。
< 113 / 401 >

この作品をシェア

pagetop