『A』
「チッ…せっかくジジィが死んで、会社を私のものにできると思ったのに…
………勘当されてた弟?
全く、とんだ邪魔者だわ」
いらだたしげに床を踏み付ける淳美。
「だいたい、なんでスイーパーが護衛なんかについてんの!?」
「スイーパーってのは総じて“なんでも屋”ですからねぇ
護衛も仕事のうちなんでしょう」
「ああ苛立たしい!
何か手はないの!?
手は!」
「す、すいやせん」
「デストロォ〜イ、使えないわね…
………!
そういえば…あの坊や、生意気に婚約者がいたわね?」
「へい…え〜…そういやいやしたね、確か」
「フフフ、いいじゃない?
使えそうよ、その子
今すぐ拉致しなさい、交渉材料として頂きましょう?」
「……やり方は…?」
「アンタ達に任せるわ
好きなようにしちゃって…捕えたら薬漬けにしても構わないわ…」
「へへっ、相変わらず黒いですねぇ…お嬢」
「オォー〜ッホホホホ!
当然よ!
私の座右の銘は、ビューティー&ダーティー…
フフフ、早速掛かりなさい!
早ければ早い程素敵よ?」
「へへっ、任せて下せぇ」
サングラスをしてスーツを着たパンチパーマの、いかにもといった感じの猫背の男が部屋から出ていく。
「マァ〜ベラス!
楽しくなって来たわね…
オォー〜ッホホホホ!」
広い部屋の中を、女の笑い声がこだまする。