『A』
 
………

「……は〜い、できたよ〜」

「おおっ!なになに!?
今日はどんなケーキ!?」

「今日はね…モンブランを作りました!」

ジャン!と、できたての自信作を披露する石姫と奈津子。

「おぉ〜〜〜っ!
超!美味そう!」

「今回はほとんどヒメちゃんが一人で作ったんだよ」

「マジで!?
ヒメやるじゃん!」

「………どうもです」

雪のように白い頬を桃色に染めて、石姫が照れる。

「じゃ、食べよっか」

「さんせー!」

………

ケーキを食べ終えた三人は、ハーブティーを飲みながらまったりしていた。

「ケーキ美味しかった〜
ナッツンが来てから、毎日が幸せ…」

「ケーキもですが…このハーブティーも美味しいです」

「本当?ヒメちゃん!
嬉し〜〜〜!
コレ、私が育てたハーブ使ってるの」

「そうなんですか?
…凄く、美味しいです」

キャッキャと話す三人、女三人寄れば姦しい、とは、正にこのことか。

「…ねね!ナッツンとジローが付き合う前の話聞かせてよ!
どうして付き合い始めたの?」

「ブーッ!
なな!…、なに!?いきなり…」

自慢のハーブティーを吹き出してしまう奈津子。

「えぇ〜、だって気になるじゃん?
二人の馴れ初め?」

「………興味あるです」

「ヒ、ヒメちゃんまで…」

ワクワクした顔で覗き込んで来る二人…。

「………」

「………ワクワク」

「………ワクワクです」

「………ハー」

…どうやら観念したらしく、「しょうがないなぁ」なんて言いながら、奈津子は健二郎との出会いを思い出し、語り出した。

………………

………
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