『A』
 
       ◇

「………で、あんまり毎日、しつこく好きだって言うから、付き合ってもいいかなぁ〜って…」

「で、現在に致る…と」

「うん」

「…ご馳走様です」

「え?」

「うん、からかうつもりだったのに…
あんまり幸せそうに話すもんだから、からかう気力もなくなっちゃったよ…」

「え?え?」

「全くです…
この幸せ者」

「えぇっ!?
そんな…二人が聞きたいって言ったんじゃない!」

「まぁまぁ、いいじゃない
ラブラブでさ…」

「ミカン、ブではなくヴ
ラヴが正しい言い方です」

「あ、そっか
んじゃラヴラヴだ」

「ラッ!………もう!」

「アハハ、怒んないでよ」

「知りません!」

バッ!とソファーから立ち上がる奈津子。

そのまま、外へ続く扉へと歩いて行く。

「あ…ゴメン、ホント怒った?」

「ううん
牛乳…さっきので無くなっちゃったから、買って来るよ」

ニコッと笑う奈津子。

怒ったフリは、二人に対しての、彼女なりのささやかな仕返しだった。

「あ、じゃあ私も行くよ
一応、ナッツンの護衛だし…
…っと、ヒメ、ゴメン、お皿片しといて」

「はいです
二人共、気をつけて…」
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