『A』
………
「ねぇ美柑、そういえば所長さんってどこ行ったの?
あの日以来見てないんだけど…」
「ん〜、なんか、やる事があるとか言って…どっか行っちゃった」
「どっかって………」
スーパーからの帰り道、牛乳と、明日のケーキの材料を大量に抱え、二人は夜道を歩いていた。
「所長ってば、よくわかんない人だから…
その内帰って来るよ」
「その内って………」
「っ!!
………何か用?オジサン達」
「え?
………!」
事務所への近道に、と使った細い路地、気付いたら、前も後ろも、大量のオッサンとチンピラに道を塞がれていた。
「ヘッヘヘ…俺達が用があるのは、そっちのお嬢さんでな…
お嬢ちゃんにゃ用はねぇんだが………」
「ヘッヘヘ」と、いやらしい下卑た笑いを浮かべながら、美柑の豊満な胸を、舐めるように睨め付ける男。
「お嬢ちゃんにも来て貰っちゃおうかな〜
なぁオメェら?!」
「ウオォー」「いいっスねー」という歓声を上げながら…男達が興奮する。
「というわけで、オジさん達と行こうか?
一緒にいいことしようよ…」
「お断り、アタシみたいにいい女を相手にするには…オジさん達、100億光年は早いよ♪」
「ヒソヒソ…美柑…光年は距離だよ…ヒソヒソ」
「えっ!?そうなの!?」
「…ふざけやがってぇ!
やっちまえ!オメェラ!」