『A』
 
「へぶしっ!」

扉を開けた男の顔面を、慌てずに掌底で殴打し、一撃で倒す。

仲間がやられたのを引き金に、手にしたフルオートの銃を乱射してくる部屋内にいた族達。

迫り来る弾丸の雨、それを、男は確実に見て躱しながら前進する。

「なっ!なんだこいつ!?」

常識で考えて、弾丸を躱しながら前進して来る人間等、いない。

残り三人となった犯人達は人間離れした男の動きに恐怖を抱く。

「がっ!」

銃弾の嵐をくぐり抜け、また一人殴り倒される。

殴られた衝撃で後方へ飛ばされ、壁にしたたかに全身を打ち付け気絶する。

「くっ……!
止まれ!止まらないと……こいつを撃つぞ!?」

「ヒィッ」

「っ!……ちっ」

犯人の一人が、人質の一人の頭に銃口を突き付けていた。
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