『A』
ビルの窓から見えるのは、ヘリの横窓にいる一人の狙撃手の姿だった。
邪魔にならないよう、かといって“ダサく”ならないよう、肩につく長さに切り揃えられた桃色の髪、それを後ろで軽く縛り、視界を確保しつつ、かつ可愛らしくといった髪型。
迷彩柄のレンジャー服に、髪には桃の花を挿していて、容姿は美人というよりは可愛い系の、少女と女性の中間のような女の子。
その女狙撃手が、ヘリの中からビル内を狙っていた。
一流のパイロットの腕前により、機内は僅かばかりも揺れはしない。
筋肉ではなく骨で、ライフルを固定し……
ダン!
ダン!!
と、憎たらしい程に冷静に、女の子は弾丸を二発撃ち放った。