『A』
「………何を言ってるのかしら?
ちっとも理解できないのだけれど…」
「ハハッ、思った通り頭悪いな…
フフン、いいだろう
貴様の頭に合わせて、わかり易く言ってやるよ
今日から私がここの社長
そして…貴様はクビだ」
「………………
………
な………
色々含めてなんですってぇーっ!?」
激昂する淳美に、バッ!と名刺を見せる響子。
「なっ、なによコレ………
“ハーモニー(株)代表取締役・美那海響子”ですって!?
ハーモニーって…あのハーモニー!?」
ハーモニー(株)…響子の怪しげな発明品を冗談で売り始めたのが発端の会社。
響子の発明品の性能と、響子の経営手腕も相俟って、あれよあれよという間に、今では吉村カンパニーに次いで、日本でNo.2の大会社だ。
「吉村カンパニーは目の上のたんこぶだったからな…
いつかどうにかしたいと思っていたのだが…
フン、貴様には感謝しなければいけないな
貴様が間抜けなおかげで、この会社…デカイおもちゃが手に入ったよ、ありがとう」
「あ……ぅ……」
「吉村穣氏は、私が唯一敵わなかった経営者だ…
彼がいなくなったこの会社など、私の相手ではないさ…」
響子は、「ホラ」と言いながら、吉村カンパニーがハーモニー(株)の傘下に加わった証明の書類を、淳美に投げ渡した。