『A』
 
ワナワナと肩を震わせる淳美…。

「貴女………後悔するわよ…」

携帯電話を取り出し、ピッポッパッとボタンを押し出す淳美。

「………組のことを言っているのなら、無駄だぞ」

「えっ?!」

何故?という顔をする淳美、自分が、八九三の花山組の娘であることは、身内以外は知らない筈だからだ。

驚きのあまり、ボタンを押す手が止まる。

「貴様の組は、物理的にも倫理的にも潰滅した
ウチの所員共で襲撃を掛け…更には、私のツテで存在できないようにしておいた…」

「ウ……ソ………」

信じたくはなかった…、根拠等全くない話だ、信じなくとも良い。

だが、響子の有無を言わせぬ説得力と迫力が、淳美に、自宅へ電話をすることをさせてはくれなかった。

「まぁ、そういうことだ
今日のところはここで帰る
武士の情けだ、一日位はその椅子に座らせてやるよ」

煙草をギュッと灰皿に押し付け、新たな一本に火を付けながら、部屋から出ていく響子…。

「ま、コレに懲りたら、次は真面目に働くんだな」

「………
ジ〜〜〜ザス」

淳美は分かりやすくガクリと肩を下ろし、終わりを悟りそう呟いた…。
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