『A』
◇
たしか、こっちのほうがくのはず。
んニャ?
ニャんか、まえからぜんしんくろいひとが。
ニャんだかボクににてるニャぁ、おとこまえニャトコとか?
「全く…ちょっと目を離すと、すぐどこかへ行ってしまわれるんですから…
…オヤ?
…なんだか、やけにこっちを見てますね」
「………」
「………」
「猫君、何か御用ですか?」
ニャ!?
ニャんかはニャしかけてきたニャ。
いやいや、しゃべれニャいっつーの!
「…と、そうだ
猫君、この辺りで綺麗な女の人を見掛けませんでしたか?
突然いなくなってしまって…どこかで悪さを…あ、いや…ゴホン
迷惑を掛けていないか、心配で…」
だからしゃべれニャいんだってば!
でも…きれーニャひと?
わるいけど、みてニャいニャー。
ものっ!すご!こわいひとにニャら、あったけどニャ。
わるいけど、さきをいそぐみニャんで、ここでしつれいするニャ。
「ニャー」
「おや?
別れの挨拶…でしょうか?
なんだか、賢そうな猫でしたね…
…と、そんなことより…所長を探さなくては…」