『A』
「では、早速今から基地の防衛を始めて貰おうと思うが…いいかな?
何か、質問とかあるかな?」
「質問っつーか、不満?ならあるんだけどよ…」
ハイ、とけだるげに手を挙げて話す一人の男、頭には白いバンダナが巻かれていて、身長は普通、体格はがっしりめ、身体の所々に傷があり、彼の戦歴の長さを物語っている。
「君は?え〜〜っと……」
「スペックだ
ファミリーネームもセカンドネームもねぇ
ただのスペックだ」
「あぁ、そう、そうだ、スペック君…だったね
…さて、君は何が不満なんだい?」
「部隊のメンツさ…
ここにいる奴らは、俺と同じ部隊ってことだよな?」
「そうなるね」
「じゃあ、やっぱり不満だ
あぁ!大いに不満だね
…何故この部隊に、あんな奴らがいる!?
女子供と一緒に戦うなんざ聞いてねぇぜ!
あんなガキ共に背中を預けるなんざぁ、俺はゴメンだね…」
スペックの指差した先に立っていたのは、一人の少年と一人の少女。
皆が一斉に、彼らの方を向いた…。