『A』
「なんだい?ボーイ
…ハハ〜ン…わかった!
惚れた女の落とし方だろ!?そうだろ!?
AHAHAHA!」
と、ポーカーで“フルハウス”を取った時のような、アメリカ笑いをするミゲル。
「…いや、わりと真面目な話だ
…なぁミゲル、アンタ明らかにこの国の人間じゃないよな
…いや、むしろ…
その金髪、顔付き、さっきの笑い声…
アンタ大国の人間だ、違うか?」
「…そうだな
だが、それがどうしたい?」
「どうしたって…自分の国を敵にまわすのはキツくないのか?」
「あぁ、そんなことか…」
ミゲルはつまらなそうに言うと、空になった好物のポテトが乗っていた皿を、カツカツとフォークでつつく。
「俺のファミリーは、もう全員死んじまったしな…
敵にまわして、特に抵抗はねぇよ…」
「抵抗はっつうか…そもそもなんで、こっち側についてんだ?」
「罪ほろぼし…みたいなもんなのかな?」
「………」
「俺は…見ての通り軍人だ
今まで星の数程、人を殺して来た…
軍人だけじゃねぇ…女…子供…老人…色んな奴を殺してきた…
そんだけ人を殺すとな…馴れちまうんだ…人を殺すということに
…ただなぁ…ある日、なんでだか、突然それが嫌になっちまった
ホント、なんでだろうなぁ…」
「………」
「で、軍を辞めたわけだが…
他に生き方を知らねぇからな…
同じ戦うにも…人の命を守る事に力を使おうと思って、な」
「で、今に至る、と」
「そういうことだ
納得したか?」
「あぁ…へへっ
ちょっと…アンタのこと好きになったぜ」
「へっ!
やめろ気持ち悪ぃ」