『A』
◇
「夜警の調子はどうですか?」
「…別に…普通」
見張り台に立つ桃色の少女、その少女に、後ろから話し掛けるタキシード姿の男性。
「………」
「………」
「………」
「………フゥ
何?何か用?」
「えぇ、まぁ正直に言って、興味がありまして…」
「興味?」
「貴女のような少女が、どうして傭兵なんて危ない稼業を?」
「………アンタには関係ない」
「えぇ、まぁ、確かに
ですが紳士としては、貴女のようなうら若き少女が傭兵をしていることに、抵抗を感じましてね
本来、貴女のような年頃の少女は…オシャレに、恋に、遊びに夢中な年頃でしょう」
「何しようが私の勝手でしょ
…何も知らないのに、知ったふうなことを言わないで」
「何か事情があるのでしょ」「へっ、こいつぁ驚いた!」
「っ?」
男の言葉を遮って現れたのは、スペックという名の傭兵だった。
「紳士ってのが、ロリコンと同じ意味だったとはな!」
「貴方は…ドリアン…でしたっけ?」
「全然違ぇっ!
でもある意味惜しいっ!
スペックだ!スペック!」
「あぁ…そうそう…スペック…でしたね」