『A』
《能力限界突破(オメガ・ビオメハニカ)》。
この特殊技能の発現こそ、この、兵士量産工場“ファクトリー”の、最大の目的である。
身寄りのない子供達を集めて、兵士を育成するこの工場。
ここでは、子供達に教育を施す前に、必ずある手術が行われる。
遺伝子組み換え手術。
人間の遺伝子・ヒトゲノムは、未だ完璧には解析されておらず、その未知の情報の塊は、宝の山といっても相違ない。
もし、ヒトゲノムを完璧に解析し、理解してしまえば、人工的に、様々な能力を持った人間を造り出せることが可能ではないか?
その研究の第一歩として、“任意に通常の人間の10倍以上の身体能力を引き出せる人間”を造り出すことにした。
その能力名は《能力限界突破(オメガ・ビオメハニカ)》と名付けられ、もう十何年も前からか、研究・実験が始められた。
もしこの実験が成功すれば、人間の姿をした最高級の破壊兵器を量産することが可能になる。
「恐らく、高過ぎる己の能力を無意識下でセーブしている筈だ
理性のタガを外してやれば、きっと力を開放する筈だ…」
「…では、例の?」
「ああ、最終カリキュラムを受講させよう
まぁ、多少予定が早まっただけだ
クツクツクツ
見物だな…」