『A』
………
ザクリ
………ブシャアァァァ!
小隊の仲間を一人、後ろから羽交い締めにし口を塞ぎ、ナイフで、頸動脈をかき切った。
飛び散る鮮血で、少女の顔が赤く染まる。
ロクに話もしたことがなかった相手だった。
だが、
あの、肉を引き裂いた感触が…
あの、血の温もりが…
そして、あの、事切れた後の肉の冷たさが…
未だに忘れられない。
あっという間に、5人いた仲間は、2人だけになっていた。
残ったのは、少女と少女。
No.00524…彼女は、2人の仲間を殺し、そして、少女の前に立った。
勿論…敵として…。
この小隊の中で、彼女は最も優秀だったから、この展開は、十分に予想の範囲内だった。
「………」
「………」
2人終始無言で見合った後、少女達は…泣いた。
涙が、先程の血を洗い流す。
気付けば、彼女もまた全身を赤く染めていた。
兵士の行く道はどこまでも、どこまでも血塗られた道なのだということを、少女達は理解した。
そして少女達は、泣きながら殺し合いを始めた…。