『A』
………
「実験は成功です!
No.00679の能力値は、遥かに予想を上回るものでした!」
「ふむ、敢えて小隊で同じ行動を取らせ続け、親密になった者を殺し、情を無くさせるという最終カリキュラムだったが…
存外に役に立ったようだな…」
「はい…ですが、NO.00679の様子は、芳しくありません
アレ以降食事も取らず、部屋に篭り切り我々の命令も受け付けません」
「刷り込みを自我が…いや、絶望が越えたか…
クツクツクツ
いいぞ、実に私好みだ…」
腕組みをして、頭を上下に揺らし笑う男。
「なぁ、彼女を外の世界に連れ出そうではないか?」
「っ?!ですが!せっかくの初の実験成功体、色々と調べたいことが…」
「しかし、このままでは餓死するぞ?」
「そこは所長が“能力”をお使いになれば…」
「確かに、私になら不可能ではない…が
可愛い子には旅させよと言うだろう?
まぁ私に任せてみろ
必ず…、外の世界を体験させれば、この製品の完成度は高まる」
「………所長がそうおっしゃるのでしたら…」
「クツクツクツ
そんな顔をするな
手を加えないことで完成するものもある、ということだよ
今のうちに取れるだけデータを取っておけ」