『A』
美那海響子のとある一日
午前
ドゴォン!
「………ん?」
「キョーコ…おはようです」
「ん?あぁ、おはようヒメ
…っと、なんだコレ?」
「朝一番からジャーマンとは…元気ですね…
芸術品の名に恥じない、美しいブリッジです」
※ジャーマンスープレックスホールド
通称“プロレスの芸術品”。
相手の背後から腰回りに自分の両腕を回して、相手の腹の前で両手をしっかりフック。
そのまま持ち上げ、真後ろに身体を反らせて後頭部からマットに叩き付ける。
そして、ブリッジをきかせてフォールを奪う…という技で、大変危険なのでチビっ子はマネすんな!
「………ん?
コレ…堀田か?」
人間が一人、首から上が床に突き刺さり、ブラブラと揺れている。
「はいです
トールでなければ死んでいるところですよ」
「………うん、心臓は動いてる、大丈夫だ」
貫の胸に耳を当て、生存を確かめる響子。
「腹減ったな…
ヒメ、朝飯頼むわ」
「了解です
先に下りてますから、二度寝しないで下さいね」
「アイアイサー」
部屋から出て行く石姫を見送り、洗面台へと向かう。
バシャバシャ
「ふぅ、さて…今日も頑張んべか」
洗顔を済ませた後、ウーンとノビをして、響子は「よっしゃ」と気合いを入れた。