『A』
 
「ハッハハ、堀田は私の期待通りのリアクションをしてくれるな」

「マメタロウが来るまでは、ツッコミが入らないからボケが流れてたもんね〜」

「ツッコミ役、貴重です」

「堀田君のツッコミはたいしたものです」

「ああ、どんなに小さなボケも拾ってくからな」

「……はぁ、どうも」

「ん〜?シケた面すんなよぅ、堀田ぁ!
まだ“膝”のこと怒ってんのかぁ?!」

「い、いえ、そんなことは」

「なんだ煮え切らんな……
……ん、そうだな、よし」

所長は手にしていたファイルをバッ!と机の上に広げる。

「次の引き受ける依頼はお前に選ばせてやるよ」

「ええっ?いや、いいですよ」

「いーや、これはもう決定事項だ
……ただし、つまらない仕事を選んだら承知せんぞ」

「そ、そげな〜」

……申し遅れましたが、僕の名前は堀田貫(ほった とおる)。

超人揃いのこの事務所に何故かいる、自他共に認める凡人です。

一応、所長の秘書という名目ですが、ようは所長のストレス解消のおもちゃ。

少しでも所長にどつかれる回数を減らせるよう、慎重に依頼を選ぼうと思います……。

TO BE NEXT →『パンに塗るもの』
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