『A』
 
………

「ヒメ、そういやオメェ…
敬語とか知らねぇのか?」

「………ケーゴ?」

「敬語だ…
敬うに…語るの語って書いて、敬語」

「…敬語…知らない」

「駄目だぞ、敬語できねぇと…
さっき買い物する時…
“コレ…”とか
“袋いい…”とか
そういうの、失礼にあたるからな
やっぱ、そういう時はキチンと敬語使わねぇとな…」

「…具体的にどんな?」

「そりゃオメェ………
………
………アレ?」

亮は首を傾げる。

よくよく考えたら、自分も今まで敬語等使わずに生きてきたのだった。

具体的にどういうものが敬語かと聞かれて、答えられる筈もなかった…。

「………リョー?」

「あぁ…うん…そうだな
ん〜とりあえず…語尾に“です”とか付けときゃいいんじゃねぇか?」

「………DEATH?」

「死んでどうする…
普通に平仮名でいいよ」

「………です?」

「おおそうだ、ちょっとやってみ?」

「………はい……です」

「おお、そんな感じじゃね?」

「そう……ですか?」

「あぁ、後は自然に言えるようになったら完璧だな」

「わかった……です
頑張る……です」

………………

………
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