『A』
 
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!

ガトリングにて、周囲の車を蹴散らす美柑。

爆炎と共に見る見る内に炎上していく車達。

もしかしたら、全く関係ない人間の車をも攻撃したかもしれないが…まぁ、細かいことを気にしたら負けだろう。

ガトリングキャノンは台座に固定されている。

その為、攻撃できるのは、後方60度の扇形の範囲内のみである。

この範囲は、はっきり言って狭い。

360度全包囲されているのだ、攻撃可能範囲が足りないのは、子供にもわかることだろう。

そこで、運転手である匠の出番だ。

グルグルと、車を素早く独楽のように回転させることにより、固定砲座の銃身を、次々と標的に向けさせる。

砲撃手と運転手の息が合わなければできない芸当だが、7年来コンビを組んでいる二人にとって、こんなことは朝飯前だ。

「みかん、ヘリが来てるぞ!
撃ち落としちまえ!」

美柑がトリガーにある赤いボタンを押すと、ガトリング砲からキャノン砲に切り替わる。

ヘリコプターは、仰角60度では、やや角度が足りない位置にいる。

そこで匠が車を前に傾かせ、その分を補う。

「派手にいくよー!
た〜まや〜!」

掛け声と共に撃ち出されたグレネード弾は、ヘリに正確に命中。

少し気が早いド派手な花火が、真昼間から街中で打ち上げられた。
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