『A』
何を隠そう、数多くの車達やヘリは…囮。
そちらに目が向いた隙を突いて、亮と戦った三人の一人…柔術使いの大男は、コソコソとばれないように車に接近。
その持ち前のパワーで、車をひっくり返したというわけだ。
「あ…あぁ…せ、成功したんだ、な…」
大男が携帯電話で、ある相手に電話を掛ける。
[クツクツクツ
ご苦労、その場で待機しろ、すぐに向かう]
「あ…わ、わかったんだな…」
ひっくり返した車の上に、大男がドッカと座る。
扉は先程の衝撃で故障してしまって開かないので、窓から響子達が這い出て来る。
幸い、怪我人はいないようだ。
「っつぅ〜〜…今のなんだったの?」
「あ…な、なんか…で…でてきた…んだな」
「あっ!オメェは」
「ひひ、ひさしぶり…なんだな」
「上等!やるか!」
気合いと共に亮が飛び掛かろうとした、その時…
バララララララララ
プロペラ音を立て、1台のヘリがこちらへと近付いて来た。
それは5人の前の道路に着陸し、中から、背広姿の空手家と、小柄な骨法使い。
――そして、眉間にシワを寄せた不機嫌そうな男が出て来て、5人の前に並び立った。