『A』
「僕の名前は堀田貫
今回、大塚さんに仕事を依頼した者です」
「フム、で、堀田とやら
あの黒い奴、黛一輝とかいったか、アレは…」
「はい、一応、僕の父です」
「なんだか色々と揉めてたみたいだが…
差し支えなければ聞かせてくれないかな?」
「はい…
皆さんは僕が巻き込んでしまったわけですから
事情はお話致します…」
貫はズッとコーヒーを一口啜り、響子は煙草に火を付ける。
「僕の父、黛一輝は、天皇守護、皇族御庭番・黛家一門の現当主です」
「おにわばん?
あの、小太刀二刀流使ったりする…」
「いえ、違います
天皇守護、皇族御庭番とは、文字通り天皇を守護する仕事で、有り体に言ってしまえばボディガードです
決して表に立たず、裏から天皇を、そして皇族のやんごとなき方々を守るのが仕事です」
「裏から?何故だ?
堂々と守ればよいだろう」
「表向きの守護は他に存在します
ですが、それだけでは足りません
表と裏
光と影
陽と陰
相反する二つの属性を合わせることにより、盤石を築く
古来の日本は、そういった鬼道や陰陽道を、政治に深く取り入れてましたから」
「なるほど、では…」
「黛家は裏の守り、決して歴史の表舞台に立つことはない、まぁ、忍者等に近い存在ですね」