『A』
◇
「どげんこつね?
お別れって…」
「言葉通りの意味さ、ここで君とはお別れだ、真矢
私には、成さねばならないことがあるのだ」
「成さなならんこつって…何?」
「世界を創り直す
私と、そして、君を否定したこの世界を!」
「そげんこつ…」
「私は構わんのだよ、私はな
君に出会い拾われるまで、私はなんの価値もない存在だった!
だが真矢、何故、君がこの世界からいなくならなくてはならないのだ!?
狂っている、この世界は狂っているのだ!」
「な〜に〜?
おとーさん、なにさけんでんの?」
「貫
…ん、いいんよ
たいしたことやないけん、外で遊んで来んね」
「は〜い」
「フフフ、いい子やね
………
ねぇあなた、ウチはね、ほんにいいんよ
あなたと、そして貫が傍にいてくれたら、それでいいんよ
他にはな〜んもいらんと
ただ、それだけでいいんよ
そげな大それたことやらせんでよかけん
…最後まで、ウチの傍におってよ」
「それは…無理だ」
「なして…」
「私には、君の死に水を取ってやることなどできない…
君が死ぬ瞬間をこの目で見てしまったら、私は間違いなく狂ってしまう!」
「………ほんに馬鹿やねぇ」