『A』
「それは、僕としては助かりますが…いいんですか?」
「さっきも言ったろう
うちのメイドを連れ戻すついでだ、とな
それにな、やられっ放しは性に合わないんだよ」
「お嬢様が手伝われるのなら、当然私もお供します
それに、一応美柑の保護者ですし」
「………」
3人のやり取りを、亮は無言で聞いていた。
そして、ポケットの中から取り出した一つの飴玉を手の平の上に置き、ジーッと見つめる。
思い出すはあの白い少女。
たった三日間だけの共同生活だったが、その穏やかな日々は、鮮やかに脳裏に焼き付いている。
「………!」
ギュッと飴玉を握りしめ、亮は顔を上げる。
「俺も…行くぜ!
ヒメは泣いてた…あのままでいい筈がねぇ!」
「大塚さん…」
「やるぞ!
俺はヒメを、アンタらはあのメイドを連れ戻し、堀田は親父を止める
それでいいな?」
「はい!」
「フフン、熱いな
――と、そういや自己紹介がまだだったな…
同じ目的を持って戦うんだ、名前位知っておいた方がいいだろう…」
「そうですね
私は鷹橋匠、部下のメイド、桃戸美柑を奪還する為参加します」
「大塚亮…同じく、ヒメを助ける」
「堀田貫です
父の野望を…止めます!」
「OK
私は美那海響子だ
さて、今夜決行とか言ってたからな、そう悠長にはしてられんだろう
早速行くぞ、準備はいいな?」