『A』
 
「む、そういえば、どうしてこの場がわかったのかね?」

「みかんだ」

「何?」

「あいつが日本に来たての時、よ〜〜〜く道に迷ってな…
更には、日本語もロクに話せないってんで、探すのにいつも一苦労…
毎度探すのは正直面倒でな…で、これだ」

響子が折り畳み式の携帯を開いて見せた画面には、この街の地図。

そして、このビルの近くを示す場所で、チカチカとマーカーが点滅していた。

「む
なるほど、GPSというやつか」

「ああ、あいつのメイド服には、発信機が仕込んである
このビルにはいないようだがな
近くまで来て、屋上に立つ貴様の姿が見えてな、ここだってわかった訳だ」

「フム、屋上にいたのが徒になったか」

「そう落ち込むなよ
どうせ私の手にかかればすぐさ
で、美柑はどこにいる?」

「アレには、このビルの警護をさせている…
もっとも、接近を許してしまったわけだがな」

「鷹橋の操縦技術の賜物だ
ビルの合間をぬって接近するヘリを迎撃するのは、流石の美柑にも無理だろう」

「鷹橋匠、黒鉄の鷹と呼ばれた元傭兵か…
確かに、その男ならばそれも可能か…」
だがな、その男が一流の操舵手であるように…
あの娘もまた、一流の狙撃手なのだよ」

一輝の言葉と時を同じくして、ヘリに向けて放たれるグレネード弾。

「美柑か!
…いや、鷹橋、頼んだぞ…」
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